部材厚を基準とした、
かぶり厚の新評価法。
実測したコンクリート部材厚とデータを整合させることで、鉄筋のかぶり厚をより正確に評価できる可能性があります。本検証では、その有効性を確認しました。
これまでの課題
NDISに「実測法」がありますが、これは「かぶりが既知の鉄筋」または測定可能な壁厚を用いる必要があります。
かぶりが既知の鉄筋は稀であり、従来の電磁波レーダーでは壁厚はうまく測定できませんでした。
検証方法
部材厚の実測値を用いて比誘電率を整合させることにより、鉄筋のかぶり厚を求めます。
また、目視で確認できるセパレーターの位置を利用して、整合させた比誘電率が正しいか判断をすることができるか検証します。
躯体別の検証
躯体1 部材厚400mm
部材厚400mmを基準として比誘電率を整合させ、鉄筋とセパレーターの測定深度を確認しました。
部材厚400mmを基準として、レーダデータの比誘電率を整合させました。
その結果、かぶり厚100mmの鉄筋はデータ上でも約100mmとなり、実測値と一致しました。また、深さ約200mmに設置されているセパレーターについても、データ上の深度と一致していることを確認しました。
鉄筋とセパレーターの両方で深度の整合性を確認できたことから、実測した部材厚を用いて比誘電率を設定することにより、鉄筋のかぶり厚を求められる可能性が示されました。
※鉄筋のかぶり厚を100mmとして管理している、公的施設保管の試験体を使用した検証結果です。
躯体2 部材厚250mm
実際のセパレーター位置と、測定データ上の深度がほぼ一致しました。
部材厚250mmを基準として、レーダデータの比誘電率を整合させました。
目視で確認したセパレーターの位置は、表面から深さ約120mmです。測定データ上でセパレーターの反応位置にカーソルを合わせると119.5mmとなり、実際の位置とほぼ一致しました。
基準となるセパレーターの深度が整合していることから、同じ比誘電率を用いて算出した鉄筋のかぶり厚についても、実際の深度に近い値が得られていると考えられます。
検証結果
実測した部材厚を基準として比誘電率を設定することで、鉄筋のかぶり厚をより正確に捉えられることを確認しました。
今回の検証では、実測した部材厚を基準として比誘電率を設定することで、浅い位置にある鉄筋のかぶり厚を正確に捉えられることを確認しました。
一方、浅い位置の実測値だけを基準として比誘電率を変更した場合、浅部の表示深度に生じる変化はわずかでも、深部では算出される深度が大きく変化することが分かりました。
本検証データでは、浅い位置と深い位置で適合する比誘電率に差が見られました。そのため、部材全体の深度補正を行う場合は、浅い位置の鉄筋だけを基準とするよりも、部材厚やセパレーターなど、より深い位置にある既知の対象を基準として補正する方が、全体のかぶり厚を正確に評価できると考えられます。
部材厚などの深い位置で深度補正を行うことにより、浅部だけでなく部材全体を考慮した、より精度の高いかぶり厚評価が可能になります。
ADSPIREだからできる評価
ADSPIRE 01は、従来の電磁波レーダと比較して、コンクリート部材の裏面から得られる反射を明瞭に表示します。部材厚の反応を確認しやすいため、実測した部材厚を基準とする深度補正に活用できます。
部材厚反応の比較
ADSPIRE 01では、従来機で判別しにくかったコンクリート裏面の反応を、より明瞭に確認できます。
ADSPIRE以外
ADSPIRE 01
かぶり厚の評価についてご相談ください
かぶり厚の測定精度は、部材厚、配筋状態、コンクリートの含水状態、基準として使用できる既知の対象があるかなどによって異なります。次の情報をご用意いただくと、より具体的な検討が可能です。
- 構造物の種類・用途
- 調査対象部位(壁、床、梁など)
- 想定される部材厚
- 設計かぶり厚・配筋仕様
- 裏面から実測できるかどうか
- セパレーターなど既知の埋設物の有無
- 図面、既存の調査結果
- 調査の目的(受入検査、劣化診断など)
※本ページの内容は特定の試験体および現場条件における検証結果であり、測定精度は部材厚、配筋状態、コンクリートの材質・含水状態などの条件によって異なります。
※基準として使用できる既知の対象がない場合、深度補正の精度が低下することがあります。